台湾・那覇・宮古島・石垣島 クルーズ 6日間

 2017年6月17日(土曜日)~22日(木曜日)

 今年1月17日から23日迄JTB旅物語のツアー《充実のロシア7日間》の旅をして、約2ヶ月間掛けてようやく紀行文を書き上げた。
 紀行文執筆中、小林夫人から何かのときの電話で
 「進ちゃん今年も誕生日に海外旅行を予定しているの?」と尋ねられた。
 「ええ、そのつもりでいます」
 私は6月9日生れで毎年誕生日がらみで旅をしてきている。
 「それじゃあその時に、また連れて行って下さいね。私は何処の国でも良いの、ロシアはとても楽しかったから、他の人も誘ってみんなで行きましょうよ」と積極的である。
 「私も何処でもお付き合いしますから、小林さんが行きたい国を見付けて下さい」と電話を切った。
 暫くして今度は御主人の小林氏から電話があって 
 「鈴木さん讀賣新聞の広告で見たんだけど、家の女房の都合で6月17日から22日迄の6日間で、台湾から《プレミアム船サファイア・プリンセス号(115,875屯・全長290m)》に乗り沖縄の那覇・石垣島・宮古島を巡るクルーズというのがあるんですが、如何でしょう? 沖縄じゃつまらないですかね?」と聴かれ
 「以前、妻と一緒に地中海クルーズへ行ったことがありますが、クルーズは楽ちんですよ。私なら何処でも結構、御一緒させて戴きます」と即決で返事をしたものの、沖縄は雨期真っ最中だし、なにもこの時期に行く事はないんじゃないのか? と躊躇した。例年だと沖縄の梅雨明けは6月の16日頃だから、私は晴れ男だしまあいいか? 行ったとこ勝負も、乙だろうと了承した。
 「それじゃあ旅行内容をFAXで送ります。小菅さんも行きますかね?」
 「たぶんOKしてくれると思いますよ。旅行会社は何処ですか?」
 「トラピックス・阪急交通社の商品です。それでね《海側バルコニー付キャビン》を3月中に申し込めば129,800円の旅行代金が8,000円割引になるんですって、折角行くんですから海側のキャビン付きが良いですよね?」
 「勿論、海側のキャビン付きの方がずっと楽しいですよ。判りました。早速小菅さんに伺ってみます。有り難う御座いました」と話を打ち切った。
 沖縄の石垣島には小林氏の弟さんが大きな家で暮らしているそうで、みんなして沖縄旅行を兼ねて行こうじゃないかと約束していたから、その目的も果たせるから打って付けの旅である。
 丁度 大山ヨシ子さんが拙宅に来ていて、この電話での遣り取りを傍で聞き
 「家の主人、病気の方も大分良くなって、何処か海外旅行にでも行こうかなんて言いだしたんですよ。私達御一緒させて頂こうかしら?」と口を挟んできた。
 「私は大歓迎ですよ。小林さんの奥さんも女性が二人になればと、きっと喜んでくれますよ」
 大山さんの御主人は脳梗塞の発作で、長らく入退院を繰り返し、最近では3月に一度カテーテルの治療を受けるまでに回復してきていた。本人から海外旅行へ行きたいと仰るのだから大変良い兆しである。
 その話を受け、早速小菅氏に電話を掛ける。小菅氏も梅雨時と言うことにクレームを付けず即決で「OK」と承諾してくれた。
 「大山さん御夫婦も御一緒して下さるそうですよ」と付け加えると、
 「小林、大山さんが御夫婦で行くのなら、鈴木さんの奥さんも一緒に行ってくれませんかね? そうすれば家のも連れて行こうと思うんだけど」と言うので妻に聞いてみたところ、
 「沖縄へは何度も行ってるし、6日間も家を空けることは出来ないから私は行けないわ」と素っ気ない。そこで直ぐに小菅氏に再電話
 「家のかみさんは6日間も家を空けられないって言うんだけど、私が何方か他の人を誘うか、駄目な場合は一人参加にしますから、折角小菅さんが奥様をお連れする気になったのだから、是非そうされると良いですよ」と後押しした。すると大山さんが、
 「そう言う事なら、岩手から越してきた伯母さんを連れて行きますよ」と助け船を提案してくれたが・・・・・?
 電話の後で、インターネットでこの商品を検索してみたら、この日を含めた6月の全日程の予約はどのキャビンも[キャンセル待ちでお申し込みを受け付けております]となっていた。 折角盛り上がったのに満席じゃあ仕方ないと、この話はチャラになってしまった。
 この日トラピックス・阪急交通社から[ヨーロッパ特別企画]と称してヨーロッパのめぼしい国のツアーを、1人200,000円という旅行案内が送られてきた。その中に特得企画で[トルコ10日間]を、何と2人で200,000円というのがあった。小林明子さんは、ロシア旅行が決まる前に[エジプト]へ行きたいと仰っていたので、同じ治安の悪い国の商品だけれど、こんな商品が届きましたが如何ですかと、大山・小菅・小林氏へ打診してみた。
 大山さんの返事は早かった。
 「ちょっと日数が長過ぎるから、主人には無理ですわ。秋にスペインに行くと言ってますんで御免なさいね」との即答だった。小菅氏は
 「トルコは治安が悪いしテロが心配だから俺はキャンセルするよ。台湾・沖縄クルーズをキャンセル待ちで良いから申し込んでみたらどうだろう」と逆提案があった。小林御夫婦も
 「トルコは安くって魅力的だけど、安心して観光出来そうもないから止めにします」と、のっけからお呼びでないようだった。
 2・3日して小林氏から電話があった。
 「たまたまインターネットで調べてみたら、この前の台湾・沖縄クルーズツアー募集しているんだけれど、鈴木さんちょっと調べてくれませんか?」と言う。
 「判りました直ぐチェックしてみます。申し込めたら予約をしても構いませんか? まだ3月中だから8,000円割引の海側バルコニー付きを探してみます」と電話を切った。
 インターネットで[阪急交通社]⇒[コース番号]を打ち込み検索すると、前回は《キャンセル待ちで受け付けております》となっていた満席が、人数を6名で予約を入れるとスンナリ取れたのである。予約を入れる前に、直ぐ大山・小菅さんにこのことを話すと、
 「それは良かった。宜しくお願いします」との承諾を頂いた。
 6人で行く旅行なので、船室がバラバラにならないように、(小林明子さんはカードのポイントを溜めるのが楽しみにしているので、特に念を押し、こちらから申し込めばカードポイントよりずっとお得な[クーポン券]が貰えますからと確認を取った)私が一括して申し込むことの了解も得た。
 こうして2017年6月17日から22日迄の[台湾から《プレミアム船サファイア・プリンセス号(115,875屯)》に乗り沖縄の那覇・石垣島・宮古島6日間]を巡るクルーズ旅行がまとまった。
 最初は[阪急交通社]にインターネットから直接申し込んだ。インターネットから申し込めばカード決済が出来ると書いてあったのに、カード番号の4桁×4桁を打ち込む段になって、
 [ 支払いは銀行振り込みのみです。手数料は各自支払いとなります。カードで支払う場合には[阪急交通社]の営業所までお越し下さい ]という説明が出てきたのである。冗談じゃないよ! 往復の交通費を考えると不愉快である。カードが使えるようにすべきだと再三申し入れているのに、21世紀の現在でも阪急はこの方針を変えない。そこで私は阪急からの申し込みをキャンセルし、カード決済できるいつも専属に利用している[Tabeセゾン]から申し込んだ。
 Tabeセゾンからは一週間経っても申込用紙を送ってこないので問い合わせると、
 「阪急交通社からの資料が届かないので催促中なので着き次第、速達で送りますので今暫くお待ち下さい」とのことだった。阪急交通社から手違いで申込用紙が先に届いてしまった。これは無視して下さいと皆さんに連絡を入れた。なのに、意味が理解できなかったようで、大山ヨシ子さんや小林明子さん、小菅氏は、こちらの書類が先に着いた関係で申込書を書き込んで、どうしたらいいのかを聞いてきた。齢70歳前後のメンバーにはややこしかったようである。
 翌日[Tabeセゾン]から申込書が送られてきた。6人分の申込書、申込金の請求書や日程表その他が同封されていて[寄港順序並びに入出港時間変更の御案内]というのが入っていた。それによると日程の4日目の石垣島と5日目の宮古島が入れ替わり、石垣島の入港予定時間13時が5時間早くなり午前8時になっていた。沖縄の那覇・宮古島・石垣島は、オプショナルの島内観光の企画はなく、全て《自由行動》なのである。
  1人の基本旅行代金は129,800円-8000円(早得)=121,800円
  国内・海外空港税4,610円
  政府関連諸税【暫定額(ポートチャージなど)】18,000円
    合計 144,410円 である。
(その他 大山御夫妻と小林明子さんが旅行保険に加入)
 4月に入って間もなくして、興醒めなニュースがテレビで報道された。

 《 4月3日午後2時40分(日本時間同日午後8時40分)、ロシア・サンクトぺテルブルク中心部の地下鉄車内で起きた爆発で、少なくとも14人が死亡し49人が負傷した。爆発は、地下鉄2号線のセンナヤ広場駅から技術大学駅に向かう途中の車内で起きた。さらに近くの蜂起広場駅でも不発の爆破装置が見つかり処理された。爆発が起きた現場から、次の技術大学駅まで運転手の判断で車両を走らせ続けた御陰で、乗客の救出が容易になり、大勢の命が助かった。ロシア捜査委員会は、事件を「テロ行為」として捜査していると発表した 》
 このニュースを見て背筋がぞっとした。技術大学駅は、今年の1月19日の夜にロシアを旅行中、バレー[白鳥の湖]を見た[マリインスキー劇場]のある駅だったし、昼間訪れた[エルミタージュ美術館]の直ぐ近くである。小林・小菅氏からも電話があって、
 「我々が帰国した後で良かったですね。少し時期が遅れていたらテロ事件にぶつかったかもしれないね」と胸を撫で下ろしていた。

 各島々の観光のオプショナルツアーについて問い合わせをしたところ、阪急交通社では用意されていないという。そこでサファイア・プリンセス号のホームページを検索してみたところ、あるにはあったが、どの島の観光も4時間ちょっとで65$(7,280円)と、馬鹿みたいに高い。そこで5月21日(日曜日)午前11時[天狗]に全員が顔見せと結団式を兼ねて集まった。
 [那覇]には午後13時30分の入港で午後22時出港である。下船するには2時間近くかかるという小林氏の情報もあったけど、正味4時間コースということで、ジャンボタクシーを予約することとした。電話打ち合わせでは、那覇については大山ヨシ子さんが、私が調べたタクシー会社に予約を入れることに、宮古島で借りるレンタカーは鈴木が受け持ち、石垣島については小林氏の弟さんが石垣島に永住しているということなので小林氏が受け持ってくれることになっていた。
 天狗で一同が揃うと、お顔を見るのが初めてという方もおいでなので、一通り自己紹介となった。大山さんの御主人の健康状態が回復し、海外旅行に行きたいと意欲を見せるまで元気になったことを祝っての乾杯もした。ところが、大山・小林両御夫妻が若い頃4人が[トーハン]で、所属するところは別々だが一緒に働いていたという奇遇の再会でもあって、その話で盛り上がってしまった。
 一段落したので、サファイア・プリンセス号のPTSクルーズデスクが、ホームページに載せている《ガイド資料(あらかじめ印刷しておいた)》をお配りした。船内生活が5日間となるので、船内で使用する身分証明書兼クレジットカード作成の流れとか、服装・レストラン情報を頭に入れておいて頂きたかったからである。
 本題の[那覇]の観光について皆さんの要望を出して頂いた。あらかじめ《ジャンボタクシー会社》に、下船が何時になるか判らないけれど、那覇港出発午後2時頃から到着午後6時の4時間で見学できるコースを出して貰っていた。小林明子さん、他の方の要望を加味して
 13時30分 那覇港にて合流出発 ⇒ 首里城公園 ⇒ 識名園 ⇒ 福州園 ⇒ 国際通り ⇒ 牧志公設市場 ⇒18時那覇港着 というコースを紹介すると全員が納得してくれた。
 翌日の[宮古島]については午前7時30分宮古島港近くに停泊となる。宮古島港は小さく浅いので、サファイア・プリンセス号からは本船の両脇に吊されている《テンダーボート》に乗り宮古島に上陸という段取りである。
 宮古島のレンタカー会社は[宮古島港]迄の送迎というのがない。なので往復をタクシー2台にて行き来しなくてはならない。この旅でも車の運転は小林氏にお願いした。
 8時30分 宮古島港タクシーにて出発⇒トラベルレンタカー着、9時30分 7人乗りワゴン車にて出発(コースは順不同で ☆与那覇前浜ビーチ ☆伊良部大橋 ☆東平安名岬 ☆砂山ビーチ ☆池間大橋 ☆新城海岸 ☆下地等 ☆東平安名崎燈台 ☆竜宮展望台 ☆牧山展望台)これらを地図を見ながら観光する。
 3日目の[石垣島]についても、石垣島港が小さいので《テンダーボート(はしけ)》による上陸となる。小林御夫婦が《これが石垣島だ!》という観光地を考えて下さったので、「お任せします」ということで何とか話はまとまった。
 旅だつ前にこうした打ち合わせをするのは数十年ぶりのことだった。
 この日はそれぞれ食事もし、大山御夫妻と明子夫人は先に車でお帰りになり、私共呑兵衛はその後1時間近く飲食しお別れした。
 数日して小林氏からFAXが送られてきた。それによると、下船して直ぐに[石垣島ターミナル]から連絡船に乗り[竹富島]に渡り《水牛車にて島内観光》をして[石垣島ターミナル]に戻ってくる。レンタカー営業所からの迎えを待って、手続きを済ませ、石垣島でも小林氏の運転で川平湾 ⇒ 吹通川にてマングローブの密林をカヌーで探索 ⇒ 離島ターミナルを巡り、昼食は小林氏の弟さん宅へ、寄れれば寄ってという臨機応変のコースプランである。

 出発の2日前に今川祐子と名乗る女性添乗員から挨拶を兼ねたクルージングについての説明の電話があった。一つ気になっていたのは[台湾]で過ごす3日間の《台湾元》を幾ら換金するかであった。今川さんの説明では、「現地ガイドが日本円で5,000円分の台湾元を用意してくれている。それだけあれば充分でしょう」と言うので、この問題は解決した。

 2017年6月17日(土曜日) いよいよ出発

 春日部駅 午前9時17分発 区間急行 中央林間行き 9両目に乗車と決める。これに大山御夫妻、小菅氏と私が乗る。次の 一ノ割駅から小林御夫妻が乗車し全員合流である。予定より30分早く、成田国際空港第一ターミナル南ウイング4F 阪急交通社受付カウンターに着いた。
 無料宅配で預けたスーツケースは、受付カウンター前に並べられていた。
 12時15分に今川さんが現れ受付が始まった。全員のパスポートを提示すると、旅行中に使用する《イヤホン》と、e-チケット、台湾のTRAVEL GUIDE BOOKとプリンセス・クルーズ・アンサーブックを渡された。
 エバー航空 BR-0197便 フライト時刻は14時15分である。まずATM発券機にて、パスポートをかざして自らチケットを引き出さなくてはならない。女性係員のアドバイスを受けながら全員がチケットを受け取る。座席はあらかじめ決められていた。次ぎにエバー航空のカウンターへ行きスーツケースを預けチェックインが終了する。
 座席番号を今川さんに伝え、軽く食事をしましょうと、レストラン街を目指した。成田の南ウイングのレストラン街はかなり遠くで、そこは広いショッピングモールに変貌していた。丁度昼時で、レストランはどの店も満席状態、飛行機利用客や見送りの人の行列が出来ている店もあった。店を選んでいる暇もないので、空席がある[とんかつ]店に入った。男性は銘々好みのアルコールを注文し、結団式の”乾杯”。食事中に、トイレを済ませようとロビーに出たが、複雑に店が建て込んでいて、迷路のごとしで無事、とんかつ店まで戻ってこられるかと思う程離れたところだった。
 13時45分迄に36番ゲート前に集合ということで店を出た。大山さんの御主人が一人でショッピングモール街を、出国審査の入り口と反対の方向へトコトコ歩き出した。たぶんトイレへ向かったんだろうと思うが、それを心配した佳子さんが後を追う。人でごった返した中へ進んで行ってしまう、大丈夫かな? 大山さんは出国審査のことを承知していて36番ゲートへ行くと答えたのだろうか? ここではぐれてしまったら、大変なことになる。小林さん御夫婦が携帯電話で連絡を取りながら、探しに出てくれた。何とか出国審査の入り口までやって来たので、小林さんがホローしながら、手荷物のX線チェックもパスし、出国審査も無事通ることが出来た。
 佳子さんに聞くと
 「海外旅行は久しぶりだったので、出国審査があるということをすっかり忘れていたから、大慌てしたわ。電車に乗る感覚で直接36番ゲートへ行けると思っていたわ」そんなハプニングがあって、かなりの時間を費やしてしまった。
 サファイア・プリンセス号の船籍はイギリス・ハミルトン(パミューダ)だから、乗船するとイギリス国となる。船にはいろいろ規制があって、アルコール類は一人につきシャンパンか赤ワイン1本しか持ち込めないとされている。
 小林さんは
 「以前ヨーロッパでクルーズ船に乗った時はそんな規制はなかった」と仰るのだが
 「ブランデーなりウイスキーを持ち込んで、船内預かりとされてもいいのならお好きなようになさって下さい」というより仕方がなかった。
 男性全員がお酒好きなのと、沖縄の島観光後船内にはアルコール類の持ち込みは、一応禁止となっているので、結局免税店で女性を含めた6人にワインを1本ずつ買って頂いた。36番ゲートに着くと既にゲートが開かれて乗り込みが開始されていた。後ろの席から乗り込むので、我々の席番号が呼び上げられていた。小林氏が沢山並んでいる人を尻目にゲート前に進む、明子さんが
 「皆さん並んでいるんだから割り込んじゃ駄目よ」と注意をする。然し、係員の案内に従うしかないので、割り込むような格好で全員が飛行機に乗り込んだ。
 機材はBoeing777-300型ジャンボ機である。両側通路を挟んで2席・4席・2席である。座席番号は42のAからF迄の横一列を抑えておいてくれた。
 機は定刻より5分早く動き出した。40分もすると台湾の入国カードが配られた。書き方は皆さんにお渡ししてあるからそれをなぞらえればいい。
 1時間後に機内食のサービスが始まった。が、15分もすると乱気流ゾーンにはまってしまったようで、サービスが打ち切られる。それから30分程経ってから又サービスが開始された。機内のアルコールはビールとワインのみ、ビールの追加リクエストは1度だけでビールはなくなり、その後はワインだけだった。
 東京より時差は1時間遅れの台湾時間16時50分、ほぼ定刻通り[台湾桃園国際空港]に着陸した。台北は激しく雨が降っていた。機から出て空港内の少し広くなった通路で、添乗員の今川さんが待っていた。今川さんの後に付いて入国審査を受ける。審査官の指示通りカメラに顔を向ける。次ぎに両手の人差し指を下に向けて指紋読み取り機に付ける。帽子を被っている人は帽子を取れと言われ、まじまじと顔を見られて終わりである。かなり綿密なチェックだった。そこから階段を降りて[ターンテーブル]のベルトに流れてくるスーツケースをピックアップし、全員が揃うと出口に向かった。
 張という50歳位の女性が現地ガイドの案内で、空港内のベルト式エスカレーターを3階から1階まで降りた。慣れないからスーツケースがおぼつかない。雨の中をバスまで歩かされるのかと思っていたが、屋根付きの駐車場でバスは待機していてくれた。中扉の入り口にスーツケースを預け、前扉から乗車する。
 張さんの挨拶があり、早速[台湾元]との換金をするのにバス内を廻ってくれた。レイトがどうのこうのというより、日本円5,000円と1,300台湾元が入った封筒との交換である。
 ホテルの近くにコンビニがあること、レストランもあるが、メニューが判らないでしょうから、ホテルの2階のレストランを利用すればよいなどの情報をくれた。ホテルまで約40km・1時間20分掛かるそうだ。張は台北の案内はそっちのけで、自分の腕に填めている《北投石》の宣伝を始めた。台湾旅行に来るとこうした《腕輪》の売り込みがくどい。
 土曜日のわりには渋滞がなかったようで7時10分に《三徳大飯店(SANTOS HOTEL)》に到着した。雨はかなり強く降っている。この雨の中コンビニへ行く気にはなれない。
 部屋割りが済み荷物を部屋に置き、パジャマを出そうとスーツケースの鍵を開けようとして、[施錠部分]がもぎ取られていることに気付いた。ロビーに今川さんが待機しているというので1階まで行き、部屋まで同行して頂きその状況を見て貰った。
 「判りました。もうホテルまで来てしまっているので、この破損は帰国便でということにしましょう。成田で私が空港の旅客保安サービス窓口まで同行しますから」
 「それで結構です。お手数をお掛けしました」
 大山・小林さんの部屋は両隣だ。8時30分、声を掛けて6人揃って2階のレストランに向かった。ボーイが日本語を話せたので、メニューを見ながらヤムチャ[蒸籠(セイロ)で蒸した点心)を数種類注文する。男性はまずビール、大山氏はビールは飲まないそうで、[紹興酒]のボトルを1本温めて貰っていた。シュウマイ・水餃子その他の蒸し物をみんなして突っつき、まだいけそうなのでヤムチャの追加、炒飯と焼きそばを注文した。ビールを追加し、飲んで食べて一人425元(1,700円)と安かった。
 今川さんが、乗船後の部屋番号を印刷したスーツケースに括り付ける厚紙のパッケージタグを各部屋に持ってきて、
 「スーツケースに付けて下さい」と説明していった。
 このあと、早風呂(シャワー)を浴びた小林氏が家からスーツケースに入れてきた高級焼酎を持参して、我が部屋にお出でになった。大山氏はお休みになったようだった。サファイア・プリンセス号に焼酎を持ち込めないし、スーツケースには空港で買ったワインが2本あるというので、頑張って飲んじゃおうということになった。720ccの内540cc(3合)程飲んで、残った焼酎はペットボトルに入れて、明日午前中の観光中に飲むんだと、小菅氏と小林で分けていた。

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