11月19日(日曜日)・第5日目
バンコクのサンパン宅を午前6時に出発した。
起床は5時、空港で食事をしている時間はない。日本から買っていったカップヌードルを車の中で食べながら慌ただしく空港へ向かった。
8時のフライトで、プーケットには8時50分に着いた。
サンパンの奥様が空港まで出迎えに来てくれていて、長男の住む邸へ直行した。

長男のワチラ君はバンコクの大手商社に勤めていたが、バンコクの大気汚染やら騒音を嫌い脱サラし、リゾート地のプーケットへ移住してきてしまった。
サンパンはタイではかなりエリートで、別荘を持ち、方々に土地や不動産を持っていて、その中の一つバンコクにあった貸し店を売却し、その資金を元手にワチラ君は薬局を開店した。
何で薬局なのか? と言うのは、サンパンの長女リットさんが薬科大学を卒業し、同じ大学の同級生と結婚、父親の経営する田舎の薬局に住んでいた。が、リット夫婦も親から独立しプーケットに移ってきて邸を買い、ワチラとは別なところで薬局を開店した。
薬剤師の資格云々などの関係で姉弟して薬局店主となったのである。
リットは4歳になる娘ウアイちゃんの母である。
サンパンの奥様の案内で、リットの邸にも往き、ワチラの店にも寄ることを得た。
リットとは4年半ぶりの再会である。前に会った時にはウアイちゃんはお腹の中だった。
かっぷく宜しく「ダイエットは? No」だと平然としている。
タイの女性は日本の資生堂化粧品が大好きである。今回はリットとワチラの奥様にファンデーションを土産に買ってきた。
ワチラとは7年ぶり? 私を見るとすぐに今でも股割が出来るかと聞いてきた。ワチラが小さい時から私の柔軟体操を見ているからだ。
すかさず店内にて股割を御披露する羽目になった。女店員やサンパンファミリーから拍手喝采を受けた。
弘田さんは資生堂の男性用クリームを買ってきていて、ワチラにプレゼントしてくれた。
サンパンはバンコクの邸や別荘そしてプーケットを行ったり来たりの悠々自適、気ままなライフワークを楽しんでいる。
プーケットに来た時はワチラ邸にて泊まるそうだ。が、奥様はリットの邸に共に住み、孫の面倒を見ながら腰を据えてしまっている。
プーケットの街はこれがリゾート地か? と思えぬ程都会化している。
昼食は中国人が経営する評判の飲茶料理を食べた。サンパンが自慢する店だけあってなかなかの美味だった。
食後はサンパンの案内でプーケットの綺麗な海岸線をドライブした。

海岸沿いの商店街や数あるビーチを見ても、2年前(2004年12月26日)のインド洋スマトラ島沖地震による大津波の被害は跡形もなかった。
復旧の早さはプーケットが一番だったという。然し景観は一変していた。
以前のプーケットの砂浜にはバナナの葉で覆われた木枠の、円い屋根のパラソルが長く長く並んでいたものである。
今はもうそれを見ることはできない。見渡す限り何処にでも有る傘式(ビニール)のパラソルだけになってしまった。プーケットらしさは大津波にさらわれてしまったのだ。
地元サンパンが日頃くつろぐ(余り海水浴客が来ない)、静かなビーチで遊泳を楽しむことにした。
弘田さんは水着にも着替えず、暑いからとホテルのレストランに逃げ込んでしまった。
プーケトの海は遠浅だ。砂は真っ白だし、歩くときゅっきゅっと小気味よく砂が鳴く。
これは私の勘ぐるところだが、あのインド洋大津波によってビーチの砂がきれいに洗われたからなのではないだろうか? サンパンに聞くことは出来なかったが、砂が鳴くと云うことは砂が綺麗になったという証拠なのだ。(以前はどうだったかなあ?)
胸のあたりまでの所を横に泳ぐのがプーケット式遊泳なのだそうで、背の立たない所まで行ったら引きが強くて戻ってこれなくなり、死んでしまう人が沢山いるのだという。
私が少し沖に出たら、サンパンが大声を出して戻ってくるように叫んでいた。
そして心配の余りサンパンも海に入ってきてプーケットの海の泳ぎ方を伝授してくれた。
ビーチの売店で冷たく冷えた椰子の実を買った。一個たったの10THB(30円)だった。
弘田さんの涼んでいるレストランにも行ってみた。其処で弘田さんが注文した冷えた椰子の実(同じ大きさで)は100THB(300円)だった。
午後4時近くになって、ワチラ夫婦とサンパンの奥様もビーチへやって来た。
この日はワチラの30歳の誕生日だった。

これから見晴らしの良い、味が評判のレストランで、家族全員が集まって誕生パーティーを開くのだという。
道路脇の車の陰で、バスタオルを腰に巻き濡れた水着をはき替えた。
リッチなサンパンでもホテルのシャワーを借りるなんて事をしないのが流石だと思ったりした。
断崖絶壁・崖っぷちにある道路脇のレストランの下は幾重もの入り江になっていて所々に“MYビーチ”付のホテルが建っている。
レストランからサンセットが美しく眺められるし、此処から見下ろす入り江の景色は青い海とバナナの葉と椰子の木の森が織りなす南国さながらである。
弘田さんは赤ワインなら少々召し上がる。レストランには安いワインしかなかったので、携帯電話でこちらに向かうリットに連絡を取り、途中のボトルショップにて高級ワインを買ってきてとお願いした。
リット夫妻がウアイちゃんを連れてやって来た。色白のおしゃまなお嬢ちゃんはお人形さんみたいだ。
「いらっちゃいませ」と日本語で挨拶もしてくれた。
プーケットに住むサンパンファミリーが全員集合してワチラの誕生日を祝った。