秋のカナダ“三彩めぐり”8日間

第三日目・9月25日(土曜日)

予定より1時間早い午前8時出発となった。
 三日目の行程は[アルゴンキン州立公園]散策を楽しんでから、オタワを覗き、宿泊地のロレンシャンへと移動して行く。
 この旅の二つめのお目当てである[メープル街道]

[アルゴンキン州立公園]

《 ナイアガラを西端に、ケベック・シティを東の端にしたセントローレンス川沿いの全長800㎞もある。このルートは、ジャック・カルティをはじめとするヨーロッパからの開拓者や移民達が、川沿いに開拓したルートである。
 別名[ヘリテージ・ハィゥエイ(伝承の道)]と呼ばれていた。周辺にはメープル(サトウカエデ)の森が生い茂り、カナダ東部の落葉樹林帯との調和もとれたこのルートは、紅葉の代名詞メープルにちなんでの愛称で親しまれるようになった 》

へと入っていくのである。
 カナダの観光バスは殆どが大型で、特殊の偏光硝子(紫外線カット・外からの光をバスの中に取り込まないがバスの光も外に出さない。従ってバスの中から写真撮影をすると、バスの中の状況まで写し込むことになってしまう)を使っている。
 [アルゴンキン州立公園]は、トロントから北に車で約3時間、メープル街道をひた走る、東京都の3.5倍とカナダでも最大規模、オンタリオ州で一番古い州立公園である。
 大小約1,600もの湖が点在し、無数の川や湿地帯が広がるハイキングやカヌー(1,500kmものルートがある)キャンプ等アクティビティ・スポーツを楽しむにはもってこいの場所である。ハイウエイ沿いの公園入口に西門(West Gate)と東門(East Gate)があり、バスは東門から入って、[ベック・レイク]をトレッキングしてUターンし、[アルゴンキン・ビジター・センター]を見学して東門出口へ出るコースを取った。
 野生動物などの自然保護区になっているため車の通れる道路はハイウエイ1本のみである。(車の進入はこの通り沿いと園内に8カ所あるキャンプ場以外認められていない)
 サトウカエデの森が広がる公園内は、あでやかな紅葉が八割り程度の見頃時であった。

《 紅葉の見頃は9月中旬~10月中旬の約2~3週間である。その年の気候によって異なる。夏暑くて雨多く、初秋急に冷え込んだ年は綺麗だと言われている。
 通常、ケベック・シティ近郊で紅葉が始まってからナイアガラに到達するのに1週間前後かかるようだ。もちろんオンタリオ州北部ではナイアガラより1週間以上も早いし、高原や渓谷なども都市部よりは紅葉の訪れる時期が早い 》

 バス走行中に写真を撮ってもバスの中の光景まで写ってしまうから、左右所々に真っ赤に色づいた楓を目の中に焼き付けるしかない。(写真に納めたい景勝スポットも片側1車線の為、止まっての観光は出来ない)

アルゴンキン州立公園 [ ベ ッ グ ・ レ イ ク ]

 観光ガイドブックのイメージで抱いてきた真っ赤な世界というのは私の錯覚で、楓は種類によって黄ばんで枯れてしまうのや、青っぽいまんまのや、それこそあでやかな深紅に染まるのがあったりで、明細パレットを開いたような[グラデーション]の世界である。
 
 [アルゴンキン州立公園]を2/3程走った所に[ベック・レイク]がある。
 公園内には沢山のハイキングトレイル箇所があり、それぞれの日程に添って大自然の中にとけ込むことが出来る。
 ベック・レイクは一周2kmの初心者向けのトレイルコースである。
 チェックポイントに番号の付いた道標が設置してあるので、迷子になる心配はない。
 25人のツアー客が全員散策に参加した中で、我々は常に先頭を歩いた。
 湖を取り囲む楓を取り込んだ景色を、人を入れないで撮影したいし、歯を食いしばって付いてくる妻のポートレートを写すにも、誰も居ない一番前でないと良い場所が確保出来ないのである。
 針葉樹の間に明細の違った紅葉の楓が顔を出していて、柔らかなさざ波の湖面に水鏡に映し出されるしーんとした空間が、ずっと後ろを歩いてくる人声にかき消されして、たっぷり満足欲に浸れた。
 40分程度の散策を交えての観光は身体の為にも丁度良い行程だった。
 ベック・レイクから数分歩くとそこはハイウエー道路、景色が一変してしまう。
 Uターンしてバスは[アルギンコン・ビジター・センター(公園創設100周年を記念し、1993年に建設された)]へ直行した。

 《 剥製にされたムース(ウシ目シカ科。体高168~230㎝、体重400~800㎏。ヨーロッパではエルク、北アメリカではムースとよばれるシカの仲間では最大の動物である。夏の間は単独もしくは小さな群れでくらすが、冬には大きな群れに合流してくらす。ヨーロッパ北部、シベリア、アラスカ、カナダ、アメリカ合衆国北東部に分布する。ヘラジカ・雄の角が圧巻)のつがいが展示されて居る。

剥製にされたムース [ ヘ ラ ジ カ ]

 ムースが目撃できると言う[サンデー・クリーク渓谷]を見下ろせる展望デッキもある。館内は3つのエキシビション・スペースに分けられた森の地勢・動物の生息状況・人と森との関わりなどが、ジオラマで分かり易く説明されている 》

 昼食[弁当のサンドウィッチ]をバスの中で食べながら、オタワへ向けて200km(約3時間)メープル街道を大西洋に向かっての移動である。
 オタワ一帯は長い間、先住民のアルゴンキンとイロコイが狩猟と交易をおこなう場所であった。
 1613年、フランスの探検家シャンプランがこの地に足をふみいれ、ヨーロッパからの毛皮商人がこの地を拠点としたが、定住がはじまるのは200年後の1810年ごろのことである。
 1827年に村がつくられ、当時リドー運河の建設を指揮したバイ大佐にちなんでバイタウンと名づけられ、村はオタワ川渓谷の伐採の拠点として発展、1847年に町制が施行された。
 1850年代にはショーディエール滝(オタワ川)とリドー滝(リドー川とオタワ川の合流地)の水力が産業に利用されるようになった。
 1855年町は市に昇格し、オタワと改称された。
 市名はアルゴンキン語族のオタワ族に由来し、1858年、イギリスのビクトリア女王の布告によって連合カナダ植民地の主都にさだめられ、1867年には新たに形成されたカナダ自治領の首都となった。
 カナダの英語圏とフランス語圏を二分するオタワ川の水辺に位置している。

カナダの[ 国 会 議 事 堂 ]

 橋を渡った対岸にあるのがフランス語圏のケベック州ガディーノである。
 オタワ川を見下ろす丘、パーラメント・ヒルには国会議事堂が建ち、その周辺には国の重要機関が集まっているカナダの中心である。
 オタワ市内観光は国会議事堂で下車し写真撮影をして、1840年から栄えてきた[バイワード・マーケット]でのショッピングタイムだけだった。
 再びバスに乗って、ケベック州の[ロレンシャン]高原の宿泊地[モン・トランブラン]まで 約150km(3時間)へ向けての出発だった。