ギアナ高地・エンジェルフォールズ

3日目・9月16日(土曜日)

朝9時の出発。いよいよ【アドベンチャー・トラベル】開始である。
 オリノコ川南西に位置する丘陵と平原から成る「ガイアナ高原・グランサバンナ」は標高が900mの熱帯雨林に被われた高原地域にある。

《プリプリ防具》


 多くの河川が流れ、滝が沢山散在していて、これらの滝を見ながら北上してゆくのである。
 [ランド・クルーザー]ならではの馬力で、歩いたら難儀だろうと思われる小山や丘なんかも軽々登ってしまう。国道からちょっとはずれると、豊富な水量の川にぶつかり、いくつもの滝が現れる。                 

 7月から9月は雨期。強烈なスコール(雨に当たると痛くて冷たいから下には長袖の服も着る)が襲ってくるそうだが、私の旅行中は滅多に雨が降ることはない。
 しかし準備だけは厳重にしてきている。滝の近くで泳いだり滝の近くまで行けるから、水着を着、川底を歩けるサンダルを履き、雨に備えて雨合羽も持ち歩いている。
 それに、[プリプリ(小蝿のような血を吸う虫)]防止の為に[防虫スプレー]と、妻は頭から首まですっぽり被れるような[ネット]も持参してきている。ツアーメンバーの中には[養蜂家]が仕事に使うネットを被っていた人もいて、まるで宇宙探検旅行のようだった。

《ジェルアニの滝》


テプイ・バレーと言う見晴台から[テーブルマウンテン・ロライマ]を眺めた。あいにく雲の帽子をかぶっていて裾のほうしか見ることが出来ない。日中はいつも雲を戴いているのだという。
 [カウイの滝][カマの滝][ジュルアニの滝]と滝巡りが続く。水は透明である。

日本の清水のようには冷たくない。渓谷もあっちこっちにあった。ジュルアニの滝脇の滝壺に頭からダイビングを試みた。岩の高さは5mである。  
 ドライバー(ガイド)が率先して水遊びを楽しんで見せてくれるので、我々ツアーメンバーも釣られて水の中に入って楽しんだ。
 食虫植物や珍しい植物なんかの説明を聞きながら、渓谷を縫って滝を移動するので、つい水着姿で歩いてしまう。その結果、脹ら脛から後ろの腿を「プリプリ」に数10カ所も刺されてしまった。

《ハスペ渓谷(碧玉の川底)》


 プリプリは血を吸うので、刺された後はピンク色に膨れあがり血を吸った吸い口が何時までも赤く残る。小さなおっぱいが沢山出来たみたいになるので、いかにも痛々しく見えるのだ。人によってはそれが痒くて、膿んでしまう人もいた。1ヶ月も跡が残るとか? 油断は大敵だった。
 [ハスペ渓谷]の川底は鮮やかなる赤茶色だ。透明のせせらぎに美しく研ぎ澄まされて、紺碧の空に反射している。滝に打たれる岩から河原の川底全体が、かなり広い面積が美しい赤茶色に輝いている。今迄に、かつてこんな川底を見たことが無かった。

 ダイヤモンドの70%の硬度があるそうで、宝石の一種だという。
 堅くて砕くことも出来ないが、持ち出した場合、高額(30万円以上)の罰金と三年の懲役が科せられるそうである。
 不思議な地球の断面を発見? した感動に浸った。